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2006/11/28(火)
![](http://image.www.rakuten.co.jp/shida/img1031788458.jpeg)
![](http://www17.a8.net/0.gif?a8mat=U2HLI+A0SPDE+5WS+BWVTD)
20代半ばの頃、私は元法政大学全共闘の過激派集団革マル派だった団塊世代社長のアシスタントをしていた。
その男は世間では「マーケティングの先生」「コンサルティングの先生」として名が通っており、電通や日経新聞の社員からも「センセイ!」と呼ばれ、そんなふうに「センセイ!」と呼ぶ一流企業の社員をせせら笑いながらせっせと原稿を書いていた。
そんな「センセイ!」に私はとてもかわいがられていたと思う。いつも会社に行くと私のデスクにたれパンダのぬいぐるみとか漫画本とかおみくじ煎餅(煎餅のなかにおみくじが入っている)とかウルトラマンとかシールとかが置いてあって、なんかヘンな人だなぁと思ったけれど、とてもかわいらしい人だと思った。
マーケティングやコンサルティングの実績もない私に「○○(私の旧姓)クン、これ、やっといてぇ~(かなりやる気のない感じで)」と、企業のコンサル的な企画書を書かせてくれて、出張先にはいつも連れて行ってくれた。
そんな出張先のひとつに今話題の「濡れ煎餅」も売っているサバカレー(なぜかヴィレッジヴァンガードにも置いてある)で有名な信田缶詰様もあった。出張する前は潮騒○号に乗りながらいつも緊張していた。
すると、「センセイ!」はのほほ~んと松戸駅から私が乗っている○号車(一応、待ち合わせのために決めていた○号車)に「よぉ! ○○クン!」と、いつもより高そうなスーツを着てやってくるのだ。そんな光景を見るたびに私はよく思った。商談のときには無理をしてでも高そうな服を着る必要があるのだ、と……。
しだ缶詰さんは本当に素朴な地元密着型の企業様で、いつものほほーんとした話し合いで終了した。
しだ缶詰さんに「銚子をよく知ってくださいよ~!」と言われて、おいしい魚や鰯もたくさんご馳走になった。
その頃に銚子電鉄にも出会った。「他人を信用している」からこそ成り立つ無人駅の数々……。銚子電鉄に揺られながら犬吠崎まで行って風景を見てきた。また、ヤマサの工場も見学して、とてもレアな醤油さしも頂いた。
そんな、自分の人生のなかでとても思い出深い銚子電鉄が現在危機だという。
私は死ぬ死ぬ詐欺とか左翼にありがちな募金しての声、ホワイトバンドみたいのがとっても大嫌いなのだが、濡れ煎餅を三万円分買った。煎餅に三万円は結構でかい。なんせ、煎餅だから。イイスニーカーが買える値段だ。だけれど、金を出しても良いと思える何かがそこにはある。
しだ缶詰さんとの商談あと、「センセイ!」は潮騒○号に乗りながら、のほほ~んとビールを飲みながら濡れ煎餅を齧って、
「実は今会社に○千万円の借金があるんだよねぇ」
「倒産をしたらあいつに迷惑をかけちゃうなぁ」
「飛行機事故で死にたいなぁ」
「日曜日の親子連れを見ると爆弾仕掛けたくなる」
「○○クン(私の名前)、うちはそんなに給料高くないけど、○○クンにはボクの仕事を通していろいろな世界を見て欲しい」
「ボクらはあの頃は本気で世の中を変えようとしていたんだよ!」
という、数々の名言を潮騒○号のなかで残した。
半年後、「センセイ!」は借金を残しながら会社をたたんだ。
会社をたたむと決めた日、私は新宿御苑のちょっと高級なお食事屋さんで「センセイ!」に「本当に、すまなかった」とあやまられてしまった。とても悲しかった反面、とても「センセイ!」のことを信用できた。本当は退職金ももらえないはずの会社だったのに、退職金ももらった。
以上のことは数年も前の話だが銚子電鉄のことがネットで話題になり、昔のことを思い出した。
とても久しぶりに「センセイ!」の名前をグーグルで検索してみた。会社はもうないけれど、とある地方の美術短期大学で大学教授になっているようだ。
よかった。飛行機事故で死んでなくって……。
嗚呼、よかった、よかった。
おまけにしだ缶詰さんも今回の件でみんな(2ちゃんねらーのみんな)に助けてもらっているではないか!
嗚呼、よかった、よかった。
会社が倒産をしても生きられるものですね。
「センセイ!」
「センセイ!」がある日、私のデスクに置いててくれた、たれパンダのぬいぐるみ、今でも大切に持っています。
「センセイ!」
年末には埃をかぶったたれパンダのぬいぐるみをきちんと掃除します。
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今話題の、漢気と哀愁あふるる銚子電鉄。「ぬれ煎餅」の醤油の香り漂う、潮風とロマンのふるさと、銚子のローカル鉄道です。電鉄紹介と順次更新中の続報の付属リンク集だったりいたします。銚電に関して長文記事を書いたブログをコンプ中であります。
2006/11/29(水) | みらくりっしゅ。